運営継続について

大阪市の提訴について

第2回口頭弁論について pdf 157KB

リバティおおさか存続のための国際連帯メッセージ

第1回口頭弁論について pdf 109KB

意見陳述 pdf 174

リバティおおさか裁判に関する和解についての共同声明 

 2020年6月19日の本日、大阪地方裁判所において、大阪市が市有地の明け渡しと賃料相当損害金を大阪人権博物館(以下、リバティおおさか)に求めて本日まで続いていた裁判に関する和解(以下、本和解)が成立し、約5年間におよぶ裁判が終結しました。まずはリバティおおさか裁判に関して、毎回の口頭弁論において大阪地方裁判所の大法廷の傍聴席を埋めつくして余りある100人を優に超える支援者をはじめ、多大なご協力とご支援を寄せていただきました多くの個人と団体の皆さんに対しまして、深甚の感謝を申し上げます。
 本和解は、①リバティおおさかは現在の建物を2021年6月30日までに撤去し、大阪市に市有地を返還する、②2015年4月から発生している月額249万832円の賃料相当損害金(総額約1億9000万円)のリバティおおさかによる大阪市への支払い義務は、①の履行によって免除される、③リバティおおさかの収蔵物は大阪市の施設に保管し、その使用料は実費を除いて無償とする、④今後は大阪市がリバティおおさかに対して、適切かつ可能な範囲において協力・連携する、という要旨です。
 2013年4月1日から大阪府と大阪市はリバティおおさかに対する補助金を全面的に停止し、2015年7月23日には大阪市は市有地の明け渡しと賃料相当損害金を求めてリバティおおさかを提訴しましたが、これらについてリバティおおさかは極めて不当な措置であると判断し、厳しく批判してきました。とりわけ大阪地方裁判所での裁判では、2015年10月2日から2017年12月1日まで11回の口頭弁論、2017年12月1日から本日まで16回の進行協議において、リバティおおさかは自らの正当性を主張してきました。そして2020年に入ってリバティおおさかと大阪市との間で和解案が基本的に合意されたのをうけて、3月30日に大阪地方裁判所が和解を勧告する所見を示し、4月26日には大阪市会で和解案が承認され、本日をもって本和解の成立となりました。
 言うまでもなく、裁判における大阪市による主張は多くの問題点を含んでいると考えていますが、市有地に関しては大阪市が占有権限を有しているだけに、リバティおおさかが自らの主張を最後まで貫くには困難な状況がありました。そこでリバティおおさかは、2022年を目途とした新たな場所での再出発を実現するという現実的判断に基づいて、大阪市との裁判に関して和解することを決断しました。この決断に至ったのは、もちろん本和解はリバティおおさかが主張する内容が全面的に採用されたものでないことは承知していますが、同時にリバティおおさかの再出発への基盤となる重要な内容も含まれているからです。またリバティおおさかが部落解放に大きな足跡を残してきた大阪市浪速区の浪速地区を去らねばならないのは残念の極みですが、2022年に再出発する新しい場所で新たな歴史を刻んでいく所存です。
 リバティおおさかは、1982年12月10日に財団法人の設立、1985年12月4日に大阪人権歴史資料館としての開館、1995年12月4日に大阪人権博物館への改称、2012年4月1日に公益財団法人への移行という基本的な経過をたどり、開館当初から35年間にわたって公益性と公共性を発揮する登録博物館および社会教育の拠点施設として歩んできました。またリバティおおさかは、日本で初めての"人権に関する総合博物館"としての存在意義があり、その社会的役割を果たすため資料収集保管、展示公開、調査研究、教育普及などの博物館活動を展開してきました。とりわけ部落問題をはじめとした差別と人権に関する常設展示や多様な特別展示と企画展示は、日本国内のみならず海外諸国の来館者からも高い評価を受け、2020年5月31日までの総利用者数は約170万人を数えています。さらにリバティおおさかの博物館活動は、人権に関する教育や啓発などの発展に関しても大きく貢献してきました。
 このような35年間にわたる多くの成果を継承し、リバティおおさかは2022年には新たな場所での再出発すことになります。あたかも2022年は全国水平社創立100周年および大阪府水平社100周年に当たるように、部落問題と日本の人権を考えるうえで誠に記念すべき年といえます。リバティおおさかの再出発にあたっては、差別と人権に関する新たな到達点を反映させた新たな理念を創造し、資料収集保管、展示公開、調査研究、教育普及など博物館活動の新しい内容を創出していきます。これらの博物館活動を基本として、差別と人権に関する教育と啓発はもとより、情報発信やネットワーク構築などにも資する人権センター的な役割を果たすことも視野に入れています。しかし今後も続くと予想される厳しい経済状況をふまえるならば、現実的規模での持続可能な自主運営を基本としたものになり、新しい場所についてはアクセスが容易な大阪市内で公共交通機関の駅近くを予定しています。
 本和解の成立にともなって、リバティおおさかに関しては7月には、事務所の大阪市港区への移転、収蔵物の大阪市の施設への移動、そして建物の解体工事が始まります。リバティおおさかは約2年間の休館となりますが、常設展示や特別展示、企画展示こそ開催できないものの、資料収集保管、展示公開、調査研究、教育普及などの博物館活動を可能なかぎり展開していきます。とりわけ具体的な博物館活動として、①主催による巡回展と他の機関・団体との共催による巡回展の開催、②主催および共催によるセミナーと講座の実施、③フィールドワークの実施、④職員等の講演会への講師派遣、⑤書籍やDVDなどの販売、⑥外部資金獲得による事業、⑦寄付金の募集、などを推進していきます。
 昨今のグローバル化に伴う国際情勢の激動を背景として、ナショナリズムによる排外主義的差別および新自由主義による格差社会と社会的排除が顕著になっているだけに、人類が長い歴史のなかで築き上げてきた民主主義、自由、平等、人権という普遍的な価値は、ますます重要性を増しています。また2015年に国連によって定められた持続可能な開発計画(SDGs)は、貧困に終止符を打つとともに地球を保護し、全ての人が平和と豊かさを享受できる普遍的な行動を全世界に呼びかけ、世界各国において具体的な取り組みが展開されています。さらに直近では、コロナ禍による市場原理優先の政治からの転換および公から民へという小さな行政という方向をふまえ、生命と生活を守る行政そのもののあり方への転換、すなわち"ニューノーマル時代"ともいわれる新しい時代への転換が求められています。とりわけ差別と人権に関わっては、近年になって部落差別解消推進法をはじめ、障害者差別解消推進法、ヘイトスピーチ解消推進法、アイヌ施策推進法などが相次いで施行され、その具体化が各地で進んでいます。
 これらの世界と日本の基本的な動向に対して積極的な役割を果たすため、差別と人権の歴史と現在を見据えて博物館活動を展開するリバティおおさかの存在意義と社会的役割が以前にも増して重要となっているだけに、各方面からの大きなご期待に応えて、2022年に必ずや新しい場所で再出発することによって新たな博物館活動を創造していく決意を表明します。また併せて35年間にわたってご協力とご支援を惜しまれなかった多くの個人と団体の皆さんに感謝の意を表しますとともに、今後ともより一層のご協力とご支援をお願い申し上げて、共同声明とします。

  2020年6月19日

公益財団法人大阪人権博物館


理 事 長 石橋 武


専務理事 赤井隆史


リバティおおさか裁判弁護団


団 長  丹羽正雄


弁護士  具 良鈺


弁護士  普門大輔


弁護士  李 承現


大阪人権博物館は新たな出発に向けて6月1日から休館します

 大阪人権博物館(以下、リバティおおさか)は、1985年の開館から35周年を迎えましたが、この35年間にわたり多大なご支援とご協力をいただきました多くの団体、機関、個人に対しまして、深甚の感謝を申し上げます。
 2013年4月に大阪府と大阪市が開館から続いていた補助金を全面的に廃止したことによって、リバティおおさかは自主運営の道を歩んできました。また2015年7月には大阪市による土地明け渡しの提訴があり、リバティおおさかは存続と発展のために裁判闘争も闘ってきました。これらに関するリバティおおさかの基本的な認識については、2020年1月5日の「35周年を迎えた大阪人権博物館の存続と発展に向けた決意表明」で示したところです。
 現在のところ裁判に関しては、そう遠くない時期での大阪市との裁判上の和解を目指しています。そして全国水平社と大阪府水平社が創立100周年を迎える2022年を目途に、35年間にわたる成果を継承した新しい理念、これまでとは異なる新たな基盤と運営方法に基づいて、リバティおおさかを新しく出発させるための準備も進めています。このような状況をふまえて、リバティおおさかは新たな出発に向けた準備の一環として、2020年6月1日から休館の措置をとることにします。なお感謝の意味を込めて、5月20日から28日の開館日は、入館料を無料にします。
 近年になって部落差別解消推進法をはじめ、障害者差別解消推進法、ヘイトスピーチ解消推進法、アイヌ施策推進法などが施行されたように、差別と人権に関する課題はますます重要となっています。このような状況のなかで、リバティおおさかの新たな出発に際しては、今後における部落問題をはじめとした人権状況の新しい展望を見据えながら、現実的かつ持続可能な運営による展示を中心とした博物館事業を推進しつつ、人権に関する教育と啓発はもとより資料の保管や研究などにも貢献することによって、これまで以上に"人権に関する総合博物館"としての存在意義と社会的役割を担っていく所存です。
 リバティおおさかは新たな出発まで休館しますが、これまでの蓄積を活かした巡回展示やセミナーなどの事業を推進していく予定です。あらためて35年間にわたるご支援とご協力に感謝を申し上げるとともに、あわせてリバティおおさかの新たな出発にご期待いただけますよう、よろしくお願い申し上げる次第です。

  2020年3月1日

公益財団法人大阪人権博物館
理事長   石橋 武
専務理事  赤井 隆史

35周年を迎えた大阪人権博物館の存続と発展に向けた決意表明

 2020年になりましたが、大阪人権博物館(以下、リバティおおさか)は開館から35周年を迎えることになりました。この35年間にわたり、多大なご支援とご協力をいただいた多くの団体、機関、個人に対しまして、まずは深甚の感謝を申し上げます。
 リバティおおさかは、1982年12月に財団法人の設立、1985年12月に大阪人権歴史資料館としての開館、1995年12月に大阪人権博物館への改称、2012年4月に公益財団法人への移行という経過をたどり、公益性と公共性を発揮する登録博物館および社会教育の拠点施設として現在に至っています。またリバティおおさかは、日本で初めての"人権に関する総合博物館"としての存在意義があり、その社会的役割を果たすための多様な博物館事業は国内のみならず国外からも高い評価を受け、現在までの総利用者数は約170万人を数えています。
 しかし2013年4月に大阪府と大阪市が開館から続いていた補助金を全面的に廃止したことによって、リバティおおさかは困難な自主運営の道を歩んでいます。また2015年7月には大阪市による土地明け渡しの提訴があり、リバティおおさかは存続と発展のために裁判闘争にも取り組んでいます。このような非常に厳しい状況のなかでも、リバティおおさかは本来的な社会的役割を果たすため、人権に関する市民の自主的な活動と連携した博物館運営を継続しています。
 現在のところ、リバティおおさかの存続と発展を図るため、そう遠くない時期に大阪市との裁判上の和解を目指しています。裁判上の和解が成立した後には、一定の準備期間として休館の措置をとったうえで、今後における部落問題をはじめとした人権状況の展望を見据えながら、35年間にわたる成果を継承した新しい理念、これまでとは異なる新たな基盤と運営方法に基づいて、全国水平社と大阪府水平社が創立100周年を迎える2022年を目途に、リバティおおさかを新しく再出発させる予定です。この点に関する基本的方向については、裁判上の和解が成立した直後に報告集会を開いて明らかにしますので、ご理解いただければ幸いです。
 近年になって部落差別解消推進法をはじめ、障害者差別解消推進法、ヘイトスピーチ解消推進法、アイヌ新法などが施行されたように、差別と人権に関する課題はますます重要となっています。このような状況のなかで、リバティおおさかの存在意義と社会的役割は以前にも増して大きくなっているだけに、現実的かつ持続可能な博物館の運営と事業を継続させ、人権に関する教育と啓発はもとより資料の保管や研究などにも貢献することによって、各方面からの大きな期待に応えていく所存です。
 以上のような基本的認識をふまえ、あらためて2020年の年頭にあたってリバティおおさかの存続と発展に向けて全力を尽くしていく決意を表明し、あわせて今後とも格別のご支援とご協力を寄せていただくようお願い申し上げます。

  2020年1月5日

公益財団法人大阪人権博物館
理事長   石橋 武
専務理事  赤井 隆史

大阪人権博物館は2015年度からも運営を継続しますので、なお一層の支援と協力をお願いします

 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。本年は大阪人権博物館(リバティおおさか)が大阪人権歴史資料館として1985年12月4日に開館して30周年になります。開館以降、周知のように当館は、今日に至るまで日本で唯一の人権に関する総合博物館としての社会的役割を果たしてきました。
 当館は約3万点におよぶ人権資料の収集・保管をはじめ人権問題の調査研究、人権に関する総合展示と斬新な特別展、企画展の開催、人権問題についての普及活動、ホールでの人間性豊かな文化事業、学校における人権教育や社会における人権啓発との連携などの多彩な事業を推進し、これまで来館者を中心とした総利用者は約153万人を数えています。これらの人権に関わる当館の存在意義と社会的役割は、大阪をはじめ日本国内はもとより国際的にも大きな関心を集め、微力ながら人権意識の伸長に寄与してきたと自負しています。
 しかし2013年度から、大阪市は大阪府とともに当館に対する補助金を全面的に廃止しました。それによって当館では、事業費や管理費のみならず人件費を大幅に削減し、全体の運営費を約半額以下に抑えて自主運営の道を歩むことになりました。そのため入館料と各種の利用料などを値上げし、また新たに企業や団体、個人から寄附金(スポンサー)と賛助会費(サポーター)を募ることによって、自主運営のための自主財源の確保に努めてきました。その結果、2013・2014年度は苦しい状況のなかでも辛うじて運営を継続してきました。しかし昨今の経済状況の悪化が続くなか、寄付金と賛助会費は当初の予想に反して充分な効果をもたらさず、自主運営の継続についてはきわめて厳しい状況となっています。
 これらの状況に追い打ちをかけるように、今年の2月に大阪市より現在の博物館用地を建物を取り壊し、原状回復の上、大阪市に返還するように迫られました。もし、それが出来ないときは「本市としては必要な手続き」をとる、つまり訴訟による裁判を想定しているとしか考えられない姿勢を明らかにしています。
 当館がこれまでに果たしてきた役割と博物館用地の歴史的経過により、大阪市に対しては、引き続き現在の博物館用地のこれまで通りの土地使用料の免除もしくは大幅な削減、そして誠実な話し合いを要望しています。
今年度からは、運営を継続するため、展示など多彩な事業について従来どおりに実施する予定です。しかし経費の大幅な削減のため、開館日を縮小して水曜日から土曜日とします。何かと皆様にはご迷惑をおかけすることもあろうかとは思いますが、運営のための止むを得ざる判断であることをご理解ください。
 また、2015年3月22日に開催した第15回理事会におきまして、理事長には石橋武、専務理事には赤井隆史が新たに就任することになり、これに伴い前理事長の成山治彦、前専務理事の小頭芳明は引き続き理事として財団の運営に関わることになりました。
 4月からについては、「定款の目的達成のための公益的事業を推進している限り、博物館の開館は問題はない」と主務官庁に確認したうえで、これまでどおりの運営を継続することに努めていく所存です。皆様におかれましては、当館への一層の支援と協力をお願いする次第です。

  2015年4月1日

公益財団法人大阪人権博物館
理事長   石橋 武
専務理事  赤井 隆史

大阪市市有地問題について

大阪人権博物館の敷地として使用されている市有地について(2014年11月28日、大阪市発行) pdf 1.17MB

大阪人権博物館に関する大阪市有地の土地賃貸料について(2015年1月11日、公益財団法人大阪人権博物館発行) pdf 119KB

大阪人権博物館の敷地として使用されている市有地の明け渡しについて(2015年2月26日、大阪市発行) pdf 239KB

毎日新聞、産経新聞掲載記事

大阪市長による大阪人権博物館への市有地の明渡等について(2015年3月8日、公益財団法人大阪人権博物館発行) pdf 134KB

【参考資料】

大阪市長による大阪人権博物館への市有地の明渡等の通知に対する見解(2015年3月8日、公益財団法人大阪人権博物館発行)pdf 231KB