大阪公立大学大学史資料室人権関係資料収蔵庫の開設についての見解

 本日、多方面から待望されていた大阪公立大学大学史資料室人権関係資料収蔵庫(以下、人権関係資料収蔵庫)が開設されました。まずは公立大学法人大阪(以下、大学法人)と大阪公立大学によるご尽力に対しまして、格段の敬意を表します。また人権関係資料収蔵庫の開設に関する、大阪府、大阪市、大阪府議会、大阪市会によるご理解、部落解放同盟大阪府連合会をはじめとする多くの関係する団体・機関・個人の方々によるご協力とご支援に対しましても、深甚の感謝を申し上げます。
人権関係資料収蔵庫の開設については、大阪府立大学と大阪市立大学が2022年4月1日に統合され、新しい日本有数の総合大学として大阪公立大学が開学されたことと深く関係しています。大阪公立大学は、大阪府立大学と大阪市立大学の長きにわたる歴史と伝統を継承し、開学にあたって発表した憲章のなかに、「人類普遍の真理の探究と、人権・自由・平等・平和の尊重」という理念を明記しました。このように国際的な視野を射程に入れた日本における最大規模の公立大学として、大学の本来的な存在価値である研究と教育を大きく発展させる可能性を有し、差別の撤廃と人権の確立に関して、重要な役割と貢献を果たしていくことが大いに期待されています。
 そこで公益財団法人大阪人権博物館(以下、財団)は、貴重な社会的共有財産としての人権関係資料を保管して活用する場所として大阪公立大学が最も適切であると考え、2022年8月26日に大学法人に対して、次の理由によって提案しました。その第1は、財団が所蔵する人権関係資料が大学法人に寄贈されることによって、未来に向けて確実に保管され、次世代に継承できるからです。第2は、人権関係資料が大阪公立大学での研究と教育はもちろんのこと、とくに人権に関する展示などに活用されることによって、学内のみならず大阪府民と大阪市民をはじめとした多くの人びとの人権意識の伸長に対して、重要な社会的貢献を果たすことができるからです。第3は、人権関係資料を研究、教育、展示などに活用することによって、大阪公立大学が“総合知で越えていく大学”として存在価値と社会的役割を高めていくことになるからです。
 これをふまえて大阪公立大学学術資料受入検討委員会は、2023年3月16日に一定の条件が整うことを前提として、財団の提案を実現すべく前向きに検討するという見解を財団に示されました。そして財団と大学法人の関係者によって、2023年5月にリバティおおさか資料移管協議会(以下、移管協議会)が設置され、人権関係資料の移管と活用に関する議論を定期的に進めていくことが確認されました。移管協議会では議論を重ね、関係する現地の視察もおこないました。その結果、2025年3月13日に「リバティおおさか資料移管協議会最終報告~大阪人権博物館の所蔵資料を大阪公立大学で保管・活用するために~」をまとめました。
 そして4月24日には大学法人と財団との間で、「公益財団法人大阪人権博物館所蔵資料の公立大学法人大阪への移管に関する基本合意書」を締結しました。また財団は、2023年12月10日から人権関係資料収蔵庫の開設のために2億円を目標として寄付金を募集し、2025年5月末日までに募集した2億2000万を超える寄付金を大学法人に寄贈しました。この後も大学法人と財団とは移管協議会で具体化のために真摯な議論を継続し、大学法人は杉本キャンパス1号館での人権関係資料収蔵庫の改修工事を進め、2026年5月20日に完了させました。
 そもそも財団は財団法人大阪人権歴史資料館として1982年12月10日に設立され、1985年12月4日に登録博物館として大阪人権歴史資料館が開館しました。また1995年12月4日に財団と博物館の名称を大阪人権博物館と改称し、同時に常設展示のリニューアルを実現して、名実ともに“人権に関する総合博物館”としての社会的役割を果たすようになりました。さらに2005年12月4日に2度目の常設展示リニューアルを実現し、2012年4月1日には公益財団法人に移行しました。
その後に大阪人権博物館は博物館の運営と事業について非常に困難な状況となり、2020年6月1日には休館することになりました。そして6月19日の大阪市との民事裁判での和解をへて、2021年9月30日に大阪人権博物館の建物は失われましたが、人権関係資料の収集と保管、企画展、セミナーなどの博物館活動を継続しました。このように1985年12月4日から現在まで約40年にわたる博物館活動によって、所蔵する人権関係資料は人権に関しては質と量において日本有数となる約3万点を数え、総利用者数は約170万人にも及び、差別の撤廃と人権の確立に大きな効果をもたらすことによって、日本のみならず国際的にも高い評価を受けてきました。
 このような開館から約40年間にわたる大阪人権博物館の博物館活動をふまえて、大阪公立大学が人権関係資料収蔵庫を開設したことは、日本の大学において初めての歴史的快挙と評価することができます。また大阪公立大学自身が主体的に人権関係資料の保存と管理、研究と教育、とくに展示と公開に活用することによって、新たな歴史を刻んでいこうとする姿勢を明確に示したことに、最大の社会的意義があります。そして開設された人権関係資料収蔵庫は、国際的潮流となっている差別の撤廃と人権の確立のため、必ずや重要な社会的役割を発揮することになると確信しています。
 以上のような基本的な認識から財団と大阪人権博物館は、人権関係資料収蔵庫に対しまして、今後とも惜しみない協力と支援を続けることを約束し、さらには人権に関する定期的な企画展の開催によって、大阪公立大学としての将来的な博物館構想を早期に実現することを熱望したいと思います。つきましては、これまで財団と大阪人権博物館に対してご協力とご支援を惜しまれなかった多くの団体・機関・個人の方々に対しまして格別の感謝を申し上げ、新しく開設された人権関係資料収蔵庫に対しまして、ご協力とご支援をいただきますようお願いを申し上げまして、財団の見解とする次第です。

2026年6月29日

 

公益財団法人大阪人権博物館
理事長  石橋武
専務理事 髙橋 定

 

 

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